KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

カンヌ広告祭 番外編:オノ・ヨーコ、マチスの教会、アルル


オノヨーコ
今回のカンヌでのセミナーの目玉はオノヨーコ。twitterにもいるけど、今生きている日本人アーティストでは知名度など別次元にいる。僕は今回チケット買ってないので当日はアルルにいて観てないけど、後で聞いたところ、出演者を巻き込みおちょくるようなパフォーマンスだったらしく、以前に僕がNY・MOMAで初めて生で観て興奮したパフォーマンス(過去ブログ:「生オノヨーコ!!!ONOCHORD・NEWYORK」)に似たものだったのかもしれない。それにしても数年前にはアル・ゴアが来て、今回はオノ・ヨーコ。このブログにも以前から彼女の「IMAGINE PEACE」のバナーを貼っているけど、これがもしカンヌにソーシャルキャンペーンとして出品されていたら、はたして受賞したのだろうか。もちろんこの例だけではないけど、最近の広告とプロジェクト型アートは近くなっていると思う。


マチスの教会
マチスによるロサリオ礼拝堂。以前にアーティストの秋山さやかさんや住吉姐さんから強力プッシュされたのもあって、楽しみにしていた。カンヌからニースへ電車とバスを乗り継いで2時間余り。降りてから15分ほど歩いてようやくこじんまりとした教会が見えてきた。中に入ってみると、中世の教会のような薄暗い荘厳な雰囲気とは正反対に、太陽光の差し込む真っ白で明るい空間が広がっている。

マチスがその生涯最期の3年余をかけてつくり、自身「生涯最高の作品」だと言う教会。その壁に描かれた絵を見た第一印象は正直、下手というか「ファンキーだなぁ」というものだった。壁に敷き詰められたタイルの上に、モノクロで一筆描きのようにラフに描かれた絵。もう一方の壁にはハウツーのような断片的な絵が散在している。巨匠が晩年に描いたものというより、無名の若きストリートアーティストが一気に描いたようにも見える。その他、カラフルなステンドグラスも扉も、廊下の隅々までマチスの手が入っている。

すべてが丁寧につくられているんだけど、いい具合に力が抜けていて自由な感じ。重さより軽やかさ。「○億円で絵が取引される」「巨匠」だとか…後からついた周辺情報とは一切関係なく、一人の人間が丁寧に、だけど余計な力を入れずに愛情を込めてつくったような空間。そんな手作りの空間に包まれて、なんだかふわっとあったかい気持になる。こういうのが究極のアートの体験の仕方なのかもしれない。教会へ向かう途中や帰りに飲んだビールも含めて体験できてよかった場所でした。(中は撮影不可だったので、是非自分の目で見てみてください)。


アルル
アルルの駅に降りるともう空気が違う。鮮やかな緑の壁が美しい。こちらはゴッホがいた小さなのどかな街。今回はニアミスで逃したアルル国際写真フェスティバルにはいつか来て見たい。ちなみに僕らが泊まったのはこの小さな街からさらに田舎へタクシーで15分ほど行った田園風景の中。カンヌとはまったく違う静けさ。野菜やオリーブオイル、ワインが最高です。