「チャーリーとチョコレート工場」「ブコウスキー・ドキュメンタリー」
先週だけど映画を2本観て来た。
まずは六本木ヒルズでやってる「チャーリーとチョコレート工場」。
T・バートン監督の新作という予備知識もなくタイトルにも今いち惹かれず、妻に連れられるままに何となく観にいって驚いた!館内から発せられるチョコレートの香りの仕掛けは途中で気持ち悪くなりかけたが、その世界観のすごいこと。狂ってる。こんな狂ったすごい世界観を映画というマスな舞台でお金をたっぷりかけてやってしまうのだから、そりゃすごい。
チョコレート工場に案内された劇中の子供と同じく、まずは奇妙なぜんまい人形のやけに明るいダンスと直後にそれが酷たらしく燃え堕ちる様に唖然とし、工場の中に入っては次々と展開されるファンキーでクレイジーなシーンにびっくり。ウンパルンパとかいう架空のやたら濃い顔をしたおっさん原住民が全員同じ顔でクローンのように増殖して70年代のディスコ・ファンクのジャケのようなカッコで踊り、しかもかわいい顔してやたらハッピーに唄う歌はドロドロに残酷とくる。フューチャリスティックな美術もすばらしいし、最後のお約束のハッピーエンドとストーリーも(リメイクされるだけあって)よくできてる。
こんな映像世界をつくれるのは今、ティム・バートンか、金沢で展示をやったマシュー・バーニーか、あるいは日本の辻川幸一郎ぐらいしかいないのではないか。少なくとも知ってるかぎりでは。
「ブコウスキー・ドキュメンタリー」
もう一本は久しぶりにビート作家のブコウスキーのドキュメンタリー@渋谷アミューズ。
彼の本は最近あまり読んでいなかったけど昔はずいぶんはまった。「酔いどれ」とか「街いちばんの美女」とか「ありきたりの狂気」とか、そういう言葉が出てくるだけで憧れてしまう。そういや黒沢明の映画でも一番好きなのが「酔いどれ天使」という比較的佳作だったりもする。とにかくこの映画は先週行った渋谷のFlying Booksで紹介され、その場で前売りを購入。ブコウスキーを撮りつづけたドキュメンタリーに、ショーン・ペンやU2のボノやブコウスキーの何番目かの夫人などのコメントや、彼自身のビートな歌が挟まる。想像していた以上に実は弱く小心者で、真面目で、根性があって、想像していた通りに酒飲みで女好きなブコウスキーの人間くささに共感する。いい映画だったなぁ。
ブコウスキーの酔いどれ紀行
ありきたりの狂気の物語