KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

アフターダーク


アフターダーク
村上春樹の新刊が出るたびに読むようになったのは、NYに行って以降だから割と最近だ。向こうで大学の先生に薦められて「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を読み、僕は春樹を再発見した。浅田彰が春樹の小説について後藤繁雄との対談野中で「よくできた模造品」とけなしていたけど、僕は彼の小説は「よくできた」模造品としてシュミラークルの時代の中で十分価値を持っていると思っている。もっとも、その後「ハードボイルド〜」に続くクリーンヒットは、「海辺のカフカ」がかろうじてというところだけど、それは僕の読む時期にも関わるから何ともいえない。
アフターダーク」にしても、クリーンヒットではないけど、いくつかイメージとして共振した点はあった。
冒頭と最後の、都市を巨大な生物として見る視点。その中で動く部品としての人々が相互にフィードッバックし合い、ボトムアップ式に都市という全体をつくりあげていくというイメージ。全体の中の部分というペシミステックな見方というよりも、下にいる「部分」としての人に力があるイメージだ。
また、一夜の開けるまでという時間を追った、時計マークでの章立ても、読みながら小説中の時間に追いつきたくさせたりして、楽しませてくれた。