KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

これまでに影響を受けた本・雑誌

TSでいろんな人に「これまでに影響を受けた源」を聞いていたら、同じような質問で取材を受け、買ったばかりのホットカーペットの上に並べて考え中の1コマ。

ここでざっと選んだのは主に大学を卒業した22歳以降のもので、まだ忘れているのもけっこうある気がするが、それ以前となるとバックパッカーやって女の子を追いかけてばかりいたので「地球の歩き方」シリーズや「東京いい店やれる店」なども浮上する(笑)。というわけで10冊はわりとすぐに選べたけど、4冊に絞るのは苦労した。(追記:もう発売されているので載せておきます。初出:月刊『ブレーン』3月号/2月1日発売)

「フェリックス・ゴンザレス・トレス」
 博報堂を休職してNYに留学していた頃、広告と写真しか知らなかった僕に現代アートの面白さを教えてくれるきっかけとなったのがアーティスト、フェリックス・ゴンザレス=トレスだった。
 写真から始まり、立体、インスタレーションビルボードを使った展示などメディアを選ばないスタイル、プライベートな想いとパブリックな出来事を交錯させ、観る者の参加性を強く意識した作品には大きな影響を受けてきた。
 この本はそんな彼の作品を当時、僕がアルバイトしていたギャラリーがまとめて出版し、少ないバイト代の足しにと現物支給でもらったもの。コンセプチュアルで、ミニマルなのにロマンチック、儚く美しい作品の数々は、今見ても新鮮。また思えば、この本に収められている作家との対話から受けた刺激が、後に「TOKYYO SOURCE」というインタビュープロジェクトを始めた遠因にもなっている気がする。
 この他にも、PHAIDON社から発売されている現代アート作家シリーズは貪るように読んできたが、たまたま同じ学科の出身でもあり、90年代初頭に現代アート界のスターとなった後、若くして死んでいったフェリックスは、(トル)僕にとって、永遠のアイドル。


2『千のプラトージル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ
 初任配属で一人ぼっちで大阪にいた頃、ソクラテスからニーチェソシュールヴィトゲンシュタインドゥルーズデリダ…と気になる哲学者の本を読み漁っていたのが、今の僕の思考のべースになっていると思う。中でも、半ば苦行のように読んだこの本は、到底全部を理解したとは言い難いが、僕にとってはニーチェと同様、哲学書というより文学作品のように鮮烈なイメージを喚起される一冊。


「惑星の未来を生きる者たちへ」ゲーリー・スナイダー
 ビート派の詩人、ゲーリー・スナイダーのほぼ40年間に渡る思索と執筆活動をまとめたこの本に出会ったのは、割と最近のこと。学生時代にバックパッカーとして海外放浪した後も3年おきくらいに移住を繰り返していた僕にとって、彼のエコロジー思想や場所と人の関係をめぐる「再定住」という考え方が、今、自分のいる自分の住む東京という場所とを意識させ、地域での活動に関心を抱かせるきっかけとなった。


「茶の本」岡倉天心
 海外で自分の日本文化・思想への無知に気づかされるというありがちなパターンで、老荘思想や禅などを経て辿り着いた一冊。この本の中で岡倉が20世紀初頭、すでに茶道の精神の形骸化を嘆いているのを読んで以来、この日本独特のアートフォームを何か別の形で現代に創れないかと妄想してきたのが去年、別府で仲間とともにスパーク。湯遊びのような文化活動「湯道」につながっている。


以下、次点。
・「善悪の彼岸」ニーチェ
・「超芸術トマソン赤瀬川原平 
「A」A-acitvity
・「さまざまな空間」ジョルジュ・ペレック
「Interviews」ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
「不穏の書、断章」フェルナンド ペソア