KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

北九州CCA

クリスマス。今日も妻の見舞い前の羽根伸ばしで、少し足を伸ばして北九州現代美術センター(CCA)へ。

福岡から電車に乗って約1時間。北九州CCAへは、僕がNYにいた頃にここが独自に作っているアーティストブックシリーズを見て以来、いつか行ってみたいと思っていた場所で、八幡という場にありながら、そうそうたるアーティストたちを招いて滞在させ、個展を開催するほか、レクチャーや、国内外からのアーティストの卵たちの教育の場として、世界の現代アートシーンへの窓となっている(のであろう)。


駅前に立つ高層マンションやらブックオフを見てどこにでもある退屈な郊外街か…と思っていたら、そこかしこにモダニズムらしき建築物が。後で聞くと、やはり八幡製鉄所で知られ、戦後焼け野原になったこの街。戦後に政府が相当にお金を投じてこうした建物を立てたのだとか。たまたま、この建築をテーマに作品を作ったアーティストもいたらしく、この銀行が昭和46年に作られた時の記念貯金箱を頂く。。


5分ほど歩いて、いよいよCCAに到着。クリスマスで休み直前ということもあって?あまり人気がない。そのせいか、丁寧に開催中の個展や、やたら充実した図書室など案内して頂く。こんな場所だとほんと何時間でもいたくなる。


これまでにCCAが作ったアーティストブック。判型の他は、すべて中身も構成もアーティスト次第という実験的なブックシリーズ。まとめて全部欲しくなるが、少部数だけに高いのがちち辛い…というわけで2時間近くもお邪魔する。

ひとり、図書室で頂いたココアを飲みながら読んでいたせいなのか、八幡という今は見えない戦前の歴史に想いが及ぶからか、どこか村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に登場する図書館とイメージがだぶる。とはいっても悪い意味ではないが。

途中で職員の方に「公共の施設がこういうこと(地元というよりも世界の一線の現代アートとの恊働)をやっていることをどう思うか」と聞かれた。たしかに、地元や、福岡からも、きっとそういう批判はあるのだろうなと思う。でも、その場でも答えたのだけど、一見、複雑だとか、ハイブロウだとか、わかりにくい見えるものでも、そういうものが、この場で一貫して継続的に行われていることはものすごく意義のあることだと思う。世の中が低めにわかり易くフラット化してしまっている今という時代だからこそ。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド


迷った末にCCA発足時のシンポジウムの記録本を購入。蒼々たる面々の真摯な発言が今読んでも新鮮!