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KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

生きものとしての人間を中心に考える

『広告』で巻頭に登場頂いた生命誌研究所の中村桂子さんの本を知的興奮にかられて続けて読む。中村さんが科学者としての立場から、科学技術万能時代の限界が見えた今をルネッサンスの時代に重ね、生きものとしての「第二の人間復興」を唱える点に深く共感。

僕自身、TSで出した本のコラムで、「人間が有史以来、神話的世界観の時代、宗教的世界観の時代、科学的世界観の時代という3つの時代を経て今、世界との失われたつながりを取りそうとする、世界や自然への畏怖をベースとした世界観が生まれつつあるのではないか?」と書いたが、科学や生物学の方からようやくその答えを1つ見つけた気がして興奮。こうやって長い歴史の時間軸で考えると、本当に今、これからが第二のルネッサンス(人間復興)の時代にしていくべきなのだと思えてくる。

第一のルネッサンス

  • 教会からの脱却
  • 宗教の相対化/情報の共有
  • 神から解放された人間

第二のルネッサンス

  • 科学技術万能時代からの脱却
  • 科学技術の相対化/情報の共有
  • 生きものとしての人間

2冊の本ともにリーマンショック以前に書かれたものだが、まさに近代的個人、科学に基礎を置いた経済的価値が偏重されすぎてきたのが今の時代であり、世界全体がこういう思考になっていなかったから、金融ショックも起こるべくして起こったのだ。

そんな中で、中村さんは従来の科学のように(観察する)世界と自分を切り離して見ようとするのではなく、自分もその世界の中にいる存在として考える<エンド>の科学の必要性を語る。そして、専門家に閉じられてしまった科学の世界を時間を含めた物語として語ろうとしている。だから生命科学ではなく生命「誌」なのだ。ちなみに、物語の必要性という話は、先日の「S氏とO氏のマジカル対談」でも出てきた重要なキーワードだった。

一方で、価値観の転換に大きな力を果たすものとして芸術の力を挙げているのも興味深い。実際、これまたS氏がともにプロジェクトを行なった蔡國強をはじめアーティストとも多く対話をもっている。科学も、学問も、芸術も…現代のあらゆる表現がジャンルを越えて刺激し合い、新しい世界観・知を作っていくこと。それが本当に今、必要なことだと思うし、事実、それが生まれ始めているのだろう。以下、気になった言葉を抜き出してみた。

人間が自然の中の自分の位置づけをよく知ったうえで、生きものとしてもっている時間に合わせて創造的に暮らす社会をめざしての改革、それが現代の人間復興(ルネサンス)です。そのための価値観の転換、社会の変革を求めたとき、それを支える学問の発展、新しい表現としての芸術の展開が不可欠になるはずです。(…)ルネサンスを振り返るとき、最も輝いて見えるのが、文化や芸術であることは示唆的です。将来、21世紀初頭が、学問や芸術で輝いた時代として位置づけられるでしょうか。

デカルトガリレイニュートンが新しい世界観を作ったのと同じように、新しい知を作ることです。

人間とは何か。生きるとはどういうことか。私とは何か。これは答えの得られる問いではありません。だからこそ、あらゆる人が考える意味があるのです。複雑なものにそのまま向き合い、問い続けることでしか、豊かな思考へは導けないというのです。

ゲノムが語る生命―新しい知の創出 (集英社新書)

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