KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

アイ・ウェイウェイ展@森美術館

ちょっと前に、森美術館で開催中の「アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?」を観に行って来ました。HPから概要を引用させていただくと、

北京オリンピック・スタジアム「鳥の巣」を手がけたことで知られる中国を代表するアーティスト、アイ・ウェイウェイは、建築や現代美術、本の出版、展覧会の企画など、幅広い活動を続けています。近年では、多くの若者たちに影響を与えている彼のブログや、四川地震被災した子どもたちの名簿作りなどでも話題になっています。初の大規模個展となる本展では、新作6点を含む26点を展示します。」

僕にとっては数年前、初めてドクメンタに行った時に、彼が1001人の中国人を、1001脚の椅子とともにドイツに連れてくる(この作品のドキュメント映像も同展で展示されている)という作品を知って、ある種強列な印象をもったのが最初だった。

その後も、昨年、北京のアートシーンを観に行った時に、「鳥の巣」はもちろんのこと、至るところで彼の作品や、彼が設計したという美術館やアーティストインレジデンスなどに出会い、彫刻、建築、リレーショナルアート、ブログ発信など、形に縛られないスケールの大きなアーティストの一人として、蔡国強と並んで最も注目してきた中国人ア−ティストの一人。

一方でそんな彼の書いているブログが、中国政府の度重なる検閲で常に閉鎖の危機にあるというのも、中国という国の自由とはほど遠い薄ら寒さを実感させる。逆にいえば、そんな中でこれだけの活動をしてきているのがまたすごい。

ともあれ、まだ見たことのない方は、是非ご一覧を。


会場のところどころに貼られているアイ・ウェイウェイの言葉がどれも興味深い。同じようなことを、たしかゲルハルト・リヒターも「アートとは、哲学が機能しなくなった時代の哲学である」というようなことを言っていたが、経済原理が大手をふるう世の中でのアートのもつ役割とは、まさにそういうことだと思う。

「FOREVER」曽根裕の「19番目の彼女の足」とウリ2つ!

西洋のアートの文脈だけにおさまるのではなく、日々の経験をもとに、人間とはなにか?その根本について考えつづける。僕自身もそんな知性やアートのあり方にますます惹かれてきている。

展示風景の一部。

ちなみに、会場では美術館での展示には珍しく、写真撮影も可となっている。そもそも、ストロボなどで他人の鑑賞の邪魔をするとか、作品が変色するからとか多少の理由はあれど、なぜふつうは写真撮影が不可なのか。つまらない権利にこだわってアートを「大切にする」よりも、これだけネットが発達した時代を生かして、少しでも多くの人に、作品や、その考えが触れられることの方が、アートを大切にすることだろうし、そういう意味でも、いい試みだと思う。