KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

リヒター、デユシャン、ティルマンズ

先日、川村美術館で開催されているゲルハルト・リヒターの個展に行って来た。静かな場所にひっそりと立つ同美術館に、リヒターの初期の作品からガラスの作品まで天井の高いスペースでゆっくりと見れて気持ちいい。とにかくこれも圧巻。アブストラクト、ミニマル、具象、広告風と一見同じ作家がつくったとは思えない様々なスタイルの混在。まず単純にカッコいい。

カタログに清水穣が「リヒター目の上のたんこぶとしてのデュシャン」ということを書いていたが、たしかにカラーチャートの作品もいわば絵画によるレディメードだし、ガラス作品もデュシャンの大ガラスのリミックス、そして「階段を降りる裸婦」のカバーだと言える。杉本博司も自らをデユシャンピアンと書いていたが、同じ時期、ふたりのデュシャンピアンの大物アーティストをつづけてみられるいい機会。

そして、リヒターを見ていてつくづく感じたのが、さらにひと世代下になる写真家のティルマンズへの影響。アブストラクトなものと具象の混在、色彩感覚、さりげない政治性…意識的か、無意識的かはわからないけど、ドイツのアーティストにDNAのように引き継がれ、発展させられていっているように見えた。

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