KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

NY便りその1・生オノヨーコ!!!「ONOCHORD」

3日前からNYに来てます。今日のこの一晩があっただけでも、この時期に無理矢理NYに来て本当によかったと思う。

「ONOCHORD/オノ・コード」と題された、新生MOMAで行われたオノヨーコの新作フィルム上映会。ちょうど今日は全館無料の日ということもあって、大混雑のMOMA。8時から始まるフィルム上映のチケットをぎりぎりで押さえ、コージ&サヤのおしどり夫婦とともに、まずは館内の展示を見て回る。日本人が設計したという新しいMOMAの2、3階は現代アートと写真、デザインのフロアー。建物の外観はちょっと退屈だけど、吹き抜けがすごく高くてなかなか気持ちがいい。さすがに大物がずらりと揃っていて、そこそこ新作もあって、思った以上に楽しい。でもまあ今回はそれには触れない。とりあえず行く価値は十分あると思うので、NYに来たら是非。

そして、いよいよオノヨーコのスクリーニングが始まる。後から来た元ルームメートのAlejandroやJedカップルの5人で会場へ。満員。客層も幅広く僕らの隣には運悪く、ほとんど浮浪者のような老夫妻が座る。オノの若い頃からの追っかけか。
オノヨーコがずり落ちた丸いサングラスをかけて入ってくる。相変わらずだなぁ。もちろん試写会といっても、彼女がこうやってステージに出てくる以上、何が起こるかわからない。観客もそれを期待している。60年代のハプニングの雰囲気を思い出し、ちょっと興奮する。

■秘蔵フィルム
初めは、彼女のお母さんが撮ったという幼少時の8ミリフィルムを見せながら、裕福だった子供時代を語る。自宅の大理石の廻り階段!をよちよちと歩く彼女。その姿が、癖のある「you know..]を連発し、ついついマイクを離れてウロウロする彼女と重なり、思わず会場が和む。

■「Film no.4」お尻
その後、彼女のフィルム作品の代表作である、いろんな人の動くお尻を延々と映した作品とそれにまつわるエピソード。画面のお尻はユーモラスなんだけど、隣のおやじが猛烈に臭い。ミントガムで必死に匂いをごまかす。

■踊るオノヨーコ
次はジョンの亡き後、彼に捧げてつくった『Walking on the thin ice」のPV。曲が始まると、彼女はついにマイクの位置を離れ、スクリーンに向かって行ってファンキーに踊り出した。70才を越えた彼女の突然のダンス。初めは思わず笑ってしまうが、スクリーンに映る若き日の彼女とジョンの姿と、そこに向かって手を広げて踊るオノを見て、思わず胸が熱くなる。

■recent viedo work
その後、彼女の比較的最近の作品へ。コンピューターで加工した画面をバックに「今すぐ行動しようよ」というような歌詞がのる。映像はちょっと退屈。時差ぼけのせいか、隣の親父のあまりの臭さのせいか、このあたりで僕はちょっと寝てしまう。後で聞いた話しでは、彼女はこの歌の最中も踊り、突然黒いスカーフで顔を覆ったりして(アメリカのイラクへの行為に対して)一部ブーイングも起こってたらしい。

■live performance
僕が目を覚ますと、彼女は舞台の上にいるハゲ頭の男(雑誌ARTFORUMの編集長)の頭に巻き尺を巻いている。そう、彼女の作品「communication piece」で、壇上に人を呼び、いろいろ測定しているのだ。その後、彼の方がオノにインタビューをするのだが、典型的理論派のアート誌編集長と、直感型天才の彼女、その噛み合なさがおもしろかった。編集長がいかにもな感じで理論的な質問をぶつけると、彼女は「私は地球を愛してるの」「私は世界を愛してるの」「それはポジションの問題なのよ」とかいって、彼のまわりをウロウロしたり突然床に寝そべったり…ほんとファンキー。編集長も、もはや手がつけられない。

■そして…ラストはいよいよ新作の「ONOCHORD」
初め会場に入る時に僕らに渡された小さな懐中電灯に、ONOCHORDと書いてある。「I・LOVE・YOU」に合わせてライトを点灯させてくれというもの。スクリーンでは、薄暗い中に立つ彼女が観客にライトを向けて囁いている。


    I LOVE YOU
    i ii iii
(アイ・ラブ・ユーといいながら点滅させる)

最後にライトを手に彼女はいった「10年後にまた会える時も、これでお互いに合図しましょう」「I LOVE YOU」まさに、全身が詩人、神がかってるというか宗教の匂いさえ。すごい人に会った夜だった。

会場はではいろんな人がそれぞれライトでピカピカ…そんな雰囲気と彼女のメッセージをちょっとでも伝えたいと思いました。ちなみに終わったあと、車に乗って帰ろうとしている彼女に向けて仲間と懐中電灯を点滅させて「I LOVE YOU」と送ったんだけど、返事の点滅はなかった。見えなかったのか、ちょっと残念…。