元旦の挨拶
(喪中につき新年の挨拶は控えさせて頂きますが、長文になりました)
昨夜は自宅でご近所仲間と紅白を見て、元旦の晴れ晴れとした青空の下、清々しい気分です。
天皇陛下の初のビデオメッセージに、日本の象徴としてさすがの思慮深さと良心、気品や温かさを感じ、首相の年頭所感でも昨年掲げた2050年までに脱炭素に続いて「グリーン」「デジタル」「地方分散」を掲げたことに日本も(ようやく)マトモな方向に動き出している希望を感じた(アメリカ追随の新自由主義路線は根本的に切り替えてヨーロッパ型を目指してほしいし、個人的にはオリンピックとパラリンピックも安全第一に早めに中止してほしいけど)。
昨年4月初頭、長らく住んだニューヨークに一時帰国していた父がコロナに感染し、ほんの2週間あまりで急逝しました。最期までスマホ越しにしか会えず、酸素マスクを着けた父の言葉もちゃんと聞くことさえできないなかでの別れ。あまりの急な展開に呆然とし、深い悲しみと喪失感のなか緊急事態宣言下を過ごしていました。
感染が広がり始めていたニューヨークに行くという父をなぜもっと本気で止められなかったのか、父はなぜ行ったのか、父の人生は幸せだったのか。父の写真や残した手記を読み返しながらずっと考えていました。
アメリカンドリームに憧れ、当時花形だった石油化学業界に就職後、その世代には珍しく休職＆留学してMBAを取得。僕が生まれたのを機に日本に帰国後、カナダやアメリカに海外駐在して大きなプロジェクトを行うなど、まさに高度経済成長期をひた走りながら僕と妹を育て、定年退職後は仕事をすっぱり辞めて旅行やゴルフをしながら晩年を過ごした父。昨年初頭から隣に住むことになり、これから父とゆっくりお酒を飲んだりできたら……と思っていた矢先での出来事でした。
新緑が芽吹く季節のなか、父との思い出を振り返り、父の時代と人生を想像しながら、その悲しみを振り払うかのように母や妹とガーデニングに没頭するなかで、どこか、お前はそのまま自分の人生を行け！と背中を押された気がしたのでした。
20世紀の高度経済成長期を生き切った父の、次の時代をつくるために自分ができることを精一杯する。石油の時代から、グリーンの時代へ。高度経済成長期から、成熟の時代へ。経済成長一辺倒ではない、自然や文化、芸術ともバランスのとれた社会を創造していく。アメリカの追従ではない、日本の伝統も見直し、ヨーロッパの福祉国家も参考にしながら、子どもたちに少しでもマシな社会を創っていくんだ！定年まで働いてリタイアするのではなく、一生楽しみながら学び、働き続けて生きていくんだ！と。
ある意味、父を反面教師のようにスイッチを入れられた気がして、折しも会社でUniversity of Creativity (UoC)という新たな場を創ろうとしていた中で、そんな想いをぶつけて行ったのでした。
UoCはコロナ禍による工事の遅れもあり、6月開校の予定が9月にずれ込みはしましたが、6月からウェビナーセッションを始め、開校以降は月1のファーメントや週1のゼミも開始。本当に多様な仲間たちと一緒に、サステナブルな世界を創って行くんだ！と動き出しています。
僕自身、創造性の研究や教育、社会実装なんて初めての挑戦だし、まだ始まったばかりで今後も試行錯誤や実験をし続けて失敗もたくさんすると思いますが、年末もスラックや分科会で様々なプロジェクト構想が動き出していて、その熱量に、可能性に、想いを同じくする仲間がどんどん繋がっていることにワクワクしています。
最後に、年末に読んで大いに共感した本、『Weによる市民革命』と『ビジネスの未来』を紹介したい。同世代の書き手がいま世界で起きつつある「革命・大転換」を相変わらずわかりやすく解説しているこの2冊。特にUoCにも参加してくれている山口周さんの世界観、高度経済成長を経て物質的な豊かさの満たされた「高原社会」のカギとなるのが「人間性に根ざした衝動」という考え方に御意！と。昨年UoCにお招きした斎藤幸平さんのベストセラー『「人新世」の資本論』、ゼミでもみんなで参考にしている『ドローダウンー地球温暖化を逆転させる100の方法』と合わせて必読！
そんなわけで長くなりましたが、静かに確実に起こりつつある時代の大転換に向けて、今年も僕らしくできることを精一杯、楽しんでやっていきたいきます！(年末に一年を振り返るWSに参加してみて、少し肩に力が入りすぎてたことに気づいたので、今年はもう少し、PlayやEase, Humor, Beauty, Flow, そしてCreativityを大切にしていこーと思ってますー)
よろしくお願いします！
2021年元旦
UNIVERSITY of CREATIVITY
#SustainableCreativity
KYODO HOUSE
https://kyodohouse.wordpress.com/
