東京柿豚会2015\Cherlotte Dumas"Work Horse"レポート
先日開催した「東京柿豚会2015\シャーロット・デュマ "Work Horse"」。
料理も、作品も、ゲストも素晴らしく、大盛況でした。THANK YOU VERY MUCH!
今回は元々、3年前に湯道ツア—で御一緒した福岡県うきは市で「柿豚」を育てる杉勝也さんと共通の友人でもある料理家 金子健一さん(つむぎや)による「東京柿豚会2015」を検討していたところ、ちょうど日本の在来馬の撮影でオランダから写真家、シャーロット・デュマさんが来る日程が重なったこともあって、どうせなら一緒に!と同時開催することにしたのでした。
この日のメニューが記された柿豚パンフレット(左)と、同じく福岡県うきは市で柿を育てる秋吉智博さん、柿之屋のパンフレット(右)。
厨房にて料理担当の金子健一さん(左)と柿豚を育てる杉勝也さん(右)。東京柿豚会会長の作家、大竹昭子さん(中)による乾杯でスタート!
まずは、富有柿のサラダ から。テーブルの上の飾りつけに柿之屋さんの柿の葉と柿。オランダ大使館から差し入れ頂いたチーズとハイネケンも。ありがとうございます。
続いて、柿とれんこんナッツのきんぴらと、塩豚&柿と春菊のジェノベーゼ 。既にこの時点で甘みの濃い柿と柿豚を満喫。
柿豚コロッケの後は、スパイシー焼柿豚。味だけでなく、盛りつけ方も美しい。
東京や大阪など各地で10回以上開催してきたという「柿豚会」。今回はオランダ大使館や写真、アート、出版関係者などが集まって、とてもインターナショナルな雰囲気。ロックな杉さん宛に、九州の江副さん(bunbo)からギター型風船のサプライズギフトも届く(ありがとうございます!)。
後半では、地下のギャラリースペースに移動して、シャーロットさんが制作したばかりの新作映像「Work Horse」の上映会へ。
Work Horse by Charlotte Dumas
2014年11月より開始した日本在来馬を撮影するプロジェクト。洋種馬等の外来の馬種とほとんど交雑することなく残ってきた日本固有の馬は現存のものは8種に分かれ、その多くは個体数が非常に少なく絶滅が危ぶまれている。またそれらのほとんどが小さな島で生息し、一切他の場所への移動を許されていない。与那国馬のようにそのような貴重な種の馬はその土地の歴史を繋ぎ続ける存在であり、その土地を共有している人々の物語も物語っているようである。今回、オランダでの展覧会に合わせて発行となった作品集「Work Horse」(The Ice Plant刊) は、与那国、宮古、長野、北海道に赴き撮影された各在来馬を収録。本プロジェクトは現在進行形で続いており、今回の来日でも残りの在来馬の撮影に取り組む予定で、2016年には本プロジェクトを総まとめした日本での展覧会開催、作品集発行を計画中。
オランダで出版されたばかりの日本在来馬を撮影した写真集「WORK HORSE」。
新作映像「WORK HORSE」。大自然のなか、人間とともに働く2頭の在来馬の日常を追った10分ほどの静謐な映像。
上映後の質疑に、彼女が「かつて馬は人間に近い関係にあったけど、今では動物といえばペットか食用しかない。そんななかで今も人間とともに働く馬を追ってみたかった」と言っていたのが印象的でした。
締めくくりメニューは、柿豚の炊き込みごはんのおにぎりと、富有柿の甘酒寒天。ほんと最高でした!
本日のゲストたちと。左から、金子健一、シャーロット・デュマと娘のアイビー、杉勝也、私。
「豚」と「馬」。元々が偶然とはいえ、不思議に相性の良い響宴となったこの日の宴。
宴の後でシャーロットさんが言っていた「どちらにも、対象への "リスペクト"が共通してたんだと思う」という言葉に、まさに!と思ったのでした。
金子さんは5年ほど前、柿豚を育てる杉さんと出会ったのが料理人としても大きな転機だったとのこと。魂をこめて豚を育て、飼育を終えた夜にはロックをかき鳴らしながらベーコンやソーセージを作る彼に出会ってから、大切に作られた食材だからこそ、大切に料理をしていかなければと改めて思ったそうです。
僕自身、3年ほど前に、別府湯道ツア—で杉さんや秋吉さんなど、それまであまり縁のなかった「生産者」に出会ったことで、それまで抱いていたアート、デザイン、音楽、建築といった狭義の「クリエイター」像から、自然や生き物を相手に創造している彼らこそ表現者であり、クリエイターなんだという至極当たり前のことに気づかされた。そんな気づきが、最近の自身のパーマカルチャーへの傾倒にもつながっている気がします。
忘れがちな、自然への、生き物への、人へのリスペクト。
その当たり前のことの大切さと素敵さを改めて思いださせてくれた「柿豚会2015\Cherlotte Dumas"Work Horse"」。参加してくれたみなさま、ありがとうございました!
企画に協力してくれたtwelve booksの濱中さん、ビジュアルデザインをしてくれた細川剛くん、ありがとうございました!
また来年をお楽しみに!
【東京柿豚会2015\Cherlotte Dumas"Work Horse"】
日時:11月7日(土曜)!7時開場 18時スタート 21時終了
開場:KYODO HOUSE\\\\\
東京柿豚会2015 メニュー
- 富有柿のサラダ
- 柿とれんこんナッツのきんぴら
- 塩豚&柿と春菊のジェノベーゼ
- 柿豚コロッケ
- スパイシー焼柿豚
- 柿豚の角煮
- 柿豚の炊き込みごはんおにぎり
- 富有柿の甘酒寒天
ゲストプロフィール
Charlotte Dumas(シャルロット・デュマ)
1977年生まれ。オランダ人写真家。2000年にヘリット・リートフェルト・アカデミーを卒業後、ライクス・アカデミーで視覚芸術を学ぶ。キャリアを通じて現代社会における人間と動物の関係性をテーマに扱い、これまでに警察馬や救助犬、動物園で飼育されている動物など、様々なシチュエーションの動物を被写体としたポートレイト作品を発表。欧米を中心に各地で個展開催やグループ展に参加する。現在アムステルダムとニューヨークを拠点に活動。
ホームページ http://charlottedumas.nl
杉勝也
1971年 福岡県うきは市吉井町生まれ
1994年 養豚農家の二代目として後継。
2000年 食肉加工部門としてRIVERWILD HAM FACTORY を設立。
2004年 柿豚の飼育プロジェクトが始動とともにそれ以降、柿豚の会と称した料理会を各地で開催していく。
2014年 食材の更なる表現の場所として、Stadio RIVERWILD phantom を敷地内に建設。ここから新たに食材の魅力と可能性を追求していく。
柿豚ホームページ http://kakibuta.com/
柿豚の注文先 リバーワイルド
TEL 0943-75-5150 FAX 0943-76-4035
Email beatnix@lime.ocn.ne.jp
柿之屋
柿之屋ホームページ kakinoya.com
メール aki@kakinoya.com
今季の柿、販売中です。
金子健一(つむぎや)
料理研究家。大学の4年間、和食店でのアルバイトがきっかけで調理師免許を取得。コピーライターを経てパン職人の道へ。中目黒、原宿で愛されていたパン屋「オパトカ」の店長としてメニュー開発にも携わる。2005年マツーラユタカとともにフードユニット 「つむぎや」を結成。ケータリング、イベント、雑誌へのレシピ提案など幅広く活躍中。創作和食を得意とするが、パン職人の経験からパン・麺類などの粉もの料理も得意、現在行き来している長野県松本で粉もの料理教室も開催している。リバーワイルドの杉さんとは4年前の東京柿豚会で出会い、その後イベントなどで柿豚や桃豚など、季節の豚肉を使った料理を作り続けてご縁を深めている。『あっぱれ!おにぎり』(金園社)、『和食パスタ100』(主婦と生活社)など著書多数。8月にはパンの食べ方142種類を詰め込んだ『ぱんぱかパン図鑑』(地球丸)が好評販売中。
つむぎやHP www.tsumugiya.com/
KYODO HOUSE\\\\\
「自然とアート」をテーマに彫刻家、名和晃平(SANDWICH)とLow Energy Projectの共同設計により、2015年6月に東京、世田谷にオープンした近藤夫妻の自宅兼シェアスペース。アートやアーバンパーマカルチャーなど多様なものと人をつなぎ、「Art of Living」をシェアするための地域に開いた「家」として、イベントやワークショップなどをマイペースで実施中。
http://hidekon.hatenablog.com/