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KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

「アバター」

CINEMA

ギャラリーめぐりの後、先日わざわざ川崎まで行って満員で見損なった「アバター」を観に日比谷トーホーシネマへ。僕の周囲でのこの映画評は「ストーリーはハリウッド的な勧善懲悪もので先が読めてひどいけど、3D技術はすごいので観る価値はある」というのが大方だったが、とりあえずは自分の目で確認してみようと。

たしかに3Dはすごい。かつて見た「キャプテンEO」のようにあからさまに飛出してくるというような3Dではなく、背景の奥行きとその手前に映る人物に立体感がある感じ。戦闘シーンなどは大迫力(今後、同フォーマットで撮られるという広島/長崎の原爆を題材にした映画にも期待してしまいます)。

ストーリーも悪くない、というか相当よくできてる。少なくとも、従来のハリウッド的、勧善懲悪型SF映画が(最近あまり見てないのでよく知らないけど)、「善」の地球人に対して「悪」の宇宙人が来襲し、地球人が力を合わせて追い返すというものだったとすると、この映画ではそれが逆転。地球人が金に目が眩んだ「悪」の俗物(ブッシュ時代のアメリカ)で、資源目当ての彼らに(石油目当てに)自然も聖地もメチャメチャに破壊されるのがある星の先住民(インディアンやアボリジニアイヌなどの先住民であり、地球に今住む僕ら)という設定になっている。

宇宙人のやけにぺたんこな鼻もお互いにくっつけるさまがエスキモーの挨拶のようでチャーミングだし、まだ自然界の動物の一員として自然とつながって生きている彼らにまだついている尻尾も、その先を動物や植物たちとつなぐことで交信できるというのがベタでわかりやすい。尻尾をつないだ巨大鳥に乗って空を飛び回るシーンは「スターワォーズ」以来の、いや、ライト兄弟以来の、自由に空を飛ぶ夢を叶えてくれた映像だった。

そんな風に自然と静かに生きていた彼らが竹槍や弓矢を手にゲリラ戦で、地球人の戦車や空母や「ロボコップ」的戦争機械と戦う姿は、すぐさまベトナムやアラブサイドも思い出させるし、最後、彼らに同調した動物達が一緒になって地球人を倒すというハッピーエンドこそ現実とは違えど、全体としては宮崎駿化したハリウッド映画というか、「マトリクス」的なネット社会以降の世界観に、過去の歴史への反省とエコロジー思想が注入された相当良質なエンターテイメント映画だと言えるかもしれない。 少なくとも、この前に見た幾つかの様式化されたアート作品が、こうしたSF映画の美術セットのほんの一部のように感じてしまったでした。