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KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

ダライ・ラマ法王 来日講演2009 「地球の未来への対話−仏教と科学の共鳴−」

初の生ラマ、行ってきました! 両国国技館で行なわれた、ダライ・ラマ14世ノーベル平和賞受賞)と日本の学者4人(田坂広志氏、清水博氏、竹村真一氏、星野克美氏)による対話イベント「地球の未来への対話−仏教と科学の共鳴−」

対話は4人の学者がそれぞれ問題提起するのに対して、ダライ・ラマが答えるという流れで進んだ。はじめは通訳とうまく噛み合ない一幕もあってハラハラしたけれど、途中からはひょっとしてこれも特有の禅問答的な答え方なのかもしれないとも。

以下、印象に残った言葉を書き残しておく。

この地球が私たちの住む唯一の場所であるということ。人間が地球上のすべての生きものなかで唯一インテリジェンスをもった生きものであり、唯一のトラブルメーカーであること。人口増加問題。環境問題。その中で人間には頭脳を使ってそれを解決する道義的責任があるし、その能力もあるということ。「縮小経済」の必要性については、経済学者におまかせしますが(笑)、先進国で過剰な贅沢は節制したり、もっとシンプルなライフスタイルにして、後進国とのギャップを埋めるべき。

日本をはじめ、先進国では科学技術によって物質的な豊かさが達成されてきた中で、人間の精神、心の内部に目を向けることが重要。過剰な競争社会の中では、欲望や、恐れ、嫉妬から生まれるたくさんのストレスがある。これからの時代はそんな中で静かな心、心の平和の追求が大切。これからは科学でも脳科学をはじめ、人間の内的な部分の研究が非常に重要。ハードサイエンスから、ソフトサイエンスへ。よりホリスティック(総合的な)知の方向へ向かいつつあるのは喜ばしいこと。もっとも、科学は外的な物質の研究は進んでいるが、内的なものに関しては、古代インド哲学に比べれば、まだまだ幼稚園児のようなもの。

仏教と科学が恊働には非常に大きな可能性がある。すでにチベットでも海外の脳科学者などとの共同研究を始めている。仏教科学の部分は、現代科学と協力できる大きな可能性がある。特に、仏教国である日本で、これからもっとお寺などを中心に、科学者との対話をしていきたい。仏教を押しつけるつもりは毛頭ない。お互いの知をぶつけ、自由に討議すること。日本はそれにふさわしい場所である。

そうしたすべてに対して重要なのが教育。そして人間の無意識に強い影響を及ぼすメディアの力も大きい。

20世紀後半は(見方によれば)ポジティブな変化がたくさん起きた時代。戦争が不可避だと思われていたのが、共存を目指そうという機運になったこと。東西冷戦が集結し、全体主義国家も消えたこと。イラク戦争の開始時に世界中であれほど何百万ものの人が、戦争に反対を唱えたこと…。

基本的には、とても希望にあふれているのだ。希望をもつことによってチャレンジが生まれ、変化が生まれる。常にこれで十分ということはないのです。私たちの世代はもうそろそろGood byeですが(笑)、次の世代に向けて、常に新しいものを求めることを植え付けていかなければならない。自己中心的な考えでどれほどの危険が生まれたか。平和的な方法で解決する道を探ること、そのための心の持ち方、心の平和が大切なのです。

すべての宗教に共通するのは人間の思いやり、愛ということ。今、大切なのは宗教に関わらず、そうした普遍的な愛、思いやりというものの大切さを教育していくこと。いかに恐れや妬みをもたず、幸せに生きるか? どうやって全人類に共通な思いやり(compassion)をもって生きられるかが大切であり、私たちにはそれができるはずなのです!!地球温暖化は私にはコントロールできませんが(笑)、それぞれが内的な存在を高めることで、我々自身の幸せをつくっていくことはできるはず!!!


そんな話を時折「フォ、フォ、フォ、フォ(笑)」と笑いを交えながら語ったダライ・ラマ。とにかくポジティブで希望にあふれ、元気!世界を肯定的に捉えながら変えていこうとする姿勢が印象的だった。

話の大筋としても、今年に入ってから雑誌『広告』で特集してきたテーマや、その中で取材させて頂いた生命誌研究の中村桂子さんや見田宗介さんをはじめ、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」とその書籍(只今鋭意編集中、来年初頭に発売予定)のための「S氏とO氏のマジカル対談」、別府から始まった新プロジェクト「湯道」、映画「ガイアシンフォニー」や、06年にキュレーションした展覧会のテーマとも、もちろんTOKYO SOURCEの活動とも、深い部分で響き合っている話

これからの時代に必要とされる価値が様々に共鳴しながら、確実に育ち始めていることを改めて実感した対話でした。

PS:「FREE TIBET!」そういえばチベットで暴動が起こったのは今から一年半程前だった…。