『たのしい写真』ホンマタカシ
- 作者: ホンマタカシ
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2009/05
- メディア: 単行本
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2日間のCM撮影の合間に一気に読派。面白い! photography=光画→写真=真実を写す、と翻訳されてしまったことから、常にリアルかどうか、とか真実かどうか、など「決定的瞬間」と合わせて捉えられがちな日本の写真談義に対して、写真はそれ以外にもいろいろ面白さがある!と、80年代以降の海外での潮流などを合わせてわかりやすく紹介してます。
ストリート写真の神様、R・フランクはもちろん、ニューカラーや、ティルマンス、ベッヒャー系、TSで紹介した木村友紀さんも登場。写真ってのは、「決定的瞬間」や真実や自己表現だけじゃないし、自分探しよりも、外の世界にこそ面白さはある……いわば「作者の死」以降、モダニズム以降、ポストモダニズム以降の写真について。
「教養課程で習う程度の内容」とこの本で紹介されているほとんどの写真家は僕自身も知っていて、僕自身、以前に季刊誌「A」で写真特集を組んで誌上展覧会を行った時もこうした広い文脈の写真を紹介することを意図していたが、なかなか日本でこういう風に「よい子に向けて」わかりやすく現代写真の状況を書いてくれる人がいなかった。
この辺のことは当然知らないと、今、写真は語れないと思う。私小説的、ドキュメントだけじゃない現代写真の考え方を知るには絶好の入門書。