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KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

ポール・オースターとフェルナンド・ペソア

BOOKS

僕が新しい著作が出るたびに楽しみに読んでいる作家というと、ポール・オースターミラン・クンデラ村上春樹というあたりになる。そう思ってみると、3人中2人が外国人作家だ。しかも、村上春樹はアメリカやギリシャにいたこともあったりと、外国の匂いが強い作家が好きらしい。
上の3人に加えるとしたら、ポルトガルの詩人、フェルナンド・ペソア、フランスのジュルジュ・ペレック保坂和志あたり。日常の細部を丁寧に描写しつつ、どこか哲学的、抽象的な思考が感じられるものが好きらしい。そのどちらか一方だと退屈に感じられたりするし、その両方のあいだを行ったり来たりする飛躍が僕にとっては心地よいのだ。

そんな中で最近、ポール・オースターの著作で読み残していたものを読んだ。まずは「ティンブクトゥ」。タイトルから内容を想像しにくいこともあって後回しになっていた。「あの世」とかいう意味らしい。飼い主を失った犬の目線を通して人間の世界を描いた小品。僕はペットは飼ったことはないけれど楽しめた。「我が輩は猫である」じゃないけど、犬が犬なりに人間の言葉を理解していて(話すことはできないが)、犬のモノローグで話が進行する。犬好きな人にはたまらないだろうけど、そうでもない僕でも楽しめた。

ティンブクトゥ

ティンブクトゥ

そして、オースターの最新刊「幻影の書」。帯にも「オースターの最高傑作」とあるけど、読み終えて実際、そうかも!と思えるほど興奮。たまたまペソアの分厚い長編「不安の書」と同時並行で読み進めていたことも多いに関係している。「幻影の書」の中にペソアの名前が出てきたり、ペソアの本でも何度も言及されているシャトーブリアン(ステーキの名前ではなく作家)が冒頭に引用されているなど、2冊がたまたまテーマ的に深いつながりをもっていたのだ。ペソアのは600p以上もあってまだ読み終えてないけど、根気のある人にはセットで読むのがおすすめ。

幻影の書

幻影の書

もうすぐ読み終わりそうなペソアの大著。生涯をしがない会計簿士として独り身で送りながら、家に帰ってデスクで綿々と散文詩を書き続けたペソア。19世紀に生きた彼の言葉が、今読んでもほとんど時代のずれを感じないし、今、テレビで語られる多くの言葉よりも個人的には共感する部分が多い。数年前に初めて読んで衝撃を受けた「不穏の書」と並んで大好きな一冊となりそうだ。

不穏の書、断章

不穏の書、断章