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KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

久々の休みで本3冊。

トリックスターから、空へ

トリックスターから、空へ

爆笑問題太田光さんの著作を妻の本棚から引っ張りだして読む。「憲法第九条世界遺産に!」という言葉が気になっていたものの、どこかタレント本の一種として油断して開いたのだけど、お笑いタレントとしてよりも、ひとりの人間として、社会のいろんな問題に対しての考えがしっかりと書かれていて面白い。アメリカのイラク侵攻、イラクでの人質問題、日本政府の盲目的なアメリカ追随、憲法問題、それに対するメディアの論調への批判・・・、日本人である僕らひとりひとりが自分の頭で考える(あ、これはオシムの言葉だ)ことの必要性を考えさせられる。

プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる (PHPビジネス新書)

プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる (PHPビジネス新書)

会社での所属チームに最近できた、共有図書から早速一冊借りてくる。年初に写真撮影で参加した「イノベーターズ・プロジェクト」でも基調講演をした田坂広志さんの本。いくつか気になったキーワードを抜き出しておく。
知識社会とは、知識が価値を失っていく時代。智慧が価値をもってくる時代。理論や知識よりも、心を動かす言葉の重要性。物語、エピソード、寓話の有効性。個人メディアを持つ事の重要性。ギブ&テイクではなく、ギブ&ギブの大切さ。自分らしさを求め続け、自分ならではの思想を育むこと。体現すること。それによってブランドではなく、信頼を得ること。

使える 弁証法

使える 弁証法

勢いで田坂さんの本をもう一冊。ヘーゲルといえば、ずっと前に苦労して「精神現象学」(の解説本)を読んだものの、あまりにも堅苦しく難しくて苦手な哲学者だったけど(僕は基本的にはニーチェドゥルーズデリダのような「表現者系?」の哲学者の本を詩のように読む方が好きです)、この本ではそのヘーゲルの中心的な思想である「弁証法」を使って、「Web2.0」時代の今、世の中で起きていること、これから起ころうとしている未来を読み解こうとする。以下の法則を、現実の社会の豊富な例を使って証明しているのでとてもわかりやすい。

・螺旋的発展の法則。
否定の否定による発展の法則。
・量から質への転化による発展の法則。
・対立物の相互浸透による発展の法則。
・矛盾の止揚による発展の法則。

僕自身、2年ほど前に、身の回りから様々な反対語を100組選んで、それぞれの概念の間を考えるための本をつくった(『100bitー新しい世界のために』仮題/進行中)のだけど、そこでやろうとしていたことが実は、ヘーゲル弁証法にとても近かったことを改めて知る。2つの両極の概念の間を考える、対話が広がるためのベースとなるものをつくりたいと思っている。

この世界にある様々な概念の矛盾を機械的に否定しないこと。矛盾を弁証法的に止揚していくこと。ちなみに「止揚」とは、「それは、互いに矛盾し、対立するかのように見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくことです。」

例)アナログーデジタル  懐かしいものー新しいもの  
  営利企業非営利組織  資本主義ー社会主義 東洋ー西洋
 (今はこの両世界・考え方の止揚が進行中だという結論に同感)


最後に気になった言葉。
「割り切り」とは、魂の弱さである。「矛盾を前に、割り切ることなく、格闘しつづけること。」
普段の仕事でもいろんな事情を前に割り切ってやるのは簡単かもしれない。でもそれは、逃げること、諦めることだし、体面だけ繕って自分を守ること。結局は自分のエネルギーを自分にとって意味のないことに使うことになるし、その後も、そういう人には常に「割り切ってやってください」というような仕事しか来ないだろう(それでいいならいいけど)。割り切らないで、最後までいいものをつくるために格闘しつづけたい。