KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

イノベーターズ・プロジェクト(1)

週末の土日、朝9時から夕方6時くらいまでNYのJAPAN SOCIETYの主催する「INNOVATORS PROJECT」に出席してカメラマンをやってきた。カメラマンとして仕事するなんて何年ぶり?という感じだけど、参加者のひとりであったデビッド・ディヒーリ(2dk)さんに声をかけられ、内容的にとても面白そうだったので参加することに。

まず、この会議がどんなものかと言うと、アメリカと日本からコンサルタントシンクタンクの人、NPO、企業のCSR担当者、建築家、デザイナー、脚本家など様々な分野のイノベーター(革新者)が30人集められ、これからJAPAN SOCIETYの(膨大な)予算を使って行う、社会/世界をよくするためのプロジェクトを考えるというもの。朝9時から6時すぎまで、びっちりと行われた。始めに言われたのは、この会議はまさにオープンソースだということ。よくある会議のように「CONFIDENTIAL/部外秘」などということはない。その辺もなんだか今っぽい。

まず面白かったのが、異分野の一線にいる人たちが集まって会議をするということ。以前にここでも書いたブルース・マウの「MASSIVE CHANGE」もこんな感じなのかもしれないけど、あらゆる分野で専門性が増して島宇宙化している今だからこそ、こういう多様な人たちが集まってひとつのことを行うことに意味がある。その辺は、複雑性の考え方にも通じるんだろう。プロフェッショナルでありながら専門を越えていく横断性。アマチュアリズム。オープン性。多様性。そして全体性。

会議の進め方も示唆的だった。参加者がそれぞれの専門分野から発表をしつつ(インカムをつけての日英同時通訳/最近こういう会議が増えた)、その合間に小グループに分かれてブレーンストーミング的に「アイデア会議」を行う。まずは「まだ気付かれていない世の中のニーズ」を探り、そこから「コアアイデア」を見つけていく。

でも何しろ、その時のスピード感がすごい。ひとつの話しをしていると、それに対する意見/専門知識があらゆる方面からバンバン集まるという感じでそれを、各グループに入ったファシリテ−ターが「よし!それはすばらしいコアアイデアだ!」とか言いながら、さらに盛り上げていく。先日読んだばかりのアイデア会議と同じ。とても生産的、刺激的。このあたりは僕らも広告でいつもやっていることに近い。チームで行うクリエイティブな会議のやり方はどうやら業界を越えるらしい。

それに関連して、「攻殻機動隊」「FREEDOM」などの脚本を書いている佐藤大さんが常に4人くらいのチームで脚本を書くという話しも面白かった。一本のストーリーの中の、ラブストーリー、歴史物語、哲学史、戦争など、それぞれが別の筋を担当し、それを合わせて一本のストーリーをつくると言う。複雑に様々な物語が盛り込まれた重層的なストーリーを書く時にこの方法が有効で、ハリウッドでの「ER」などのTV番組も同じやり方で書かれているとか。

なんだかリアル空間Web2.0を体験したような、異常に密度の濃い2日間だった。途中からはカメラを持つ手を休め、他の参加者たちと同じようにせっせとノートをとったりして、年初にとてもいい刺激をもらえた感じ。この会議の詳しい事は今後、ホームページでアップされていくほか、僕の写真入りでこの2日間の模様が書籍かされ、これからここで始まったプロジェクトが動き出すという。
肝心の会議の中身についても、まだいろいろ書きたいことはあるけど、続きはまた。