KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

最近読んだ本から

しばらくまったく本も読めない有様だったけど、
最近やっと仕事が少し落ち着いてきた。というわけで、タイに行ったり来たりの間や、ちょっと前に読んだ本を記しておきます。最近ちょっと凝っているのが日本/東洋文化/思想/茶道…。
NY時代に、よくあるように、日本の文化を知らないことに気付かされて老子荘子、禅、仏教、俳句などをまとめ読みしたクチだけど、最近はまた別の角度からの興味で第2次東洋・日本/文化・思想ブームのような感じ。

千利休 千利休
村井 康彦 (2004/02)
講談社

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まずは千利休の生涯と茶道。かなりヘンクツで面白い人物像だなぁ。そっか、茶室ってふつう4畳半だったんだ、しかも2帖なんて狭いのもあったのか。うちの納戸も茶室になるのか…。夏以来、気になっている茶道。近く、一度体験してみたいけど、誰か誘ってくれないですか?

東洋の理想 東洋の理想
岡倉 天心 (1986/02)
講談社

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「東洋は一つ」という、有名らしい一文で始まる岡倉天心による名著、らしい。この夏に彼の「茶の本」というのも読んだけど、この人も相当なヘンクツおやじぶり全開で、好感がもてる、というか興味がわく。この時代に東洋西洋問わず当時(まで)の美術に通じてるのもすごいが、彼が言う、歴史上、広くアジアの文化の流れ着き、洗練されてきた、アジア文化の流れ込み先としての日本の捉え方が印象に残る。彼はそれまでの推古天皇からの日本美術史の変遷(主に彫刻/仏像、絵画、屏風絵、浮世絵など)を総括してこう語る(一部現代文に修正)。

第一、精神鋭くして観念先立つときは興起し、形体を求むるにいたれば必ず衰退す。
第二、系統を遂うて進化し、系統を離れて亡ぶ。
第三、美術はその時代の精神を代表し、よく当時の思想の力を示すの力、特絶なり。
第四、日本の美術は変化に富むこと。
第五、適応力に富むこと。
第六、仏教の哲理により唯心論に傾き、写生を離れて実物以外に美の存在を認む。
第七、優美なること。(「日本美術史」明治23年)
・・・
日本美術の偉大なる一面は、芸術即人生なるにあり。百千の文化を朝宗せしめて自家薬籠中の物と化すとともに、芸術その物と社会生活との間には完全なる融合をなし、田舎に行くにも床に花あり、座するにも例あり、生活すべてが芸術なり。しかるに今やさかんにこれを撲滅しつつあり。いかなる態度をもってこの際に処すべきやは、大いに考慮を要する問題なり。これがために西洋を知り、また東洋を知るの達識を要す。いたずらに盲目たるは不可なり。西洋にても今日芸術は大いに迷い居るにあらずや、その見るべきものはドイツの音楽とフランスの絵画のみ。しかしてその仏国の絵画すら、今日すでに動揺せるの感なきあたわず。吾人の冷静なる見識を要するゆえんなり。
(「泰東工芸史」明治43年より)

もし僕らのことばがウィスキーであったなら もし僕らのことばがウィスキーであったなら
村上 春樹 (2002/10)
新潮社

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アイルランド村上春樹シングルモルトを訪ねて旅するエッセイ。僕はそんなにウィスキーは飲まないけれど、この本を読んだら、またミヤっちゃんのバーに行って飲みたくなった。げっ…、シイグルモルトをロックで飲むのは邪道なのか…。恥ずかしや。

やりたいことをやれ やりたいことをやれ
本田 宗一郎 (2005/09)
PHP研究所

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本田宗一郎が引退後に書いたというこの本。ほんとうならこういう本はもっと若いうちに読むものだろうけど、今読んでも発見させられること多し。やんちゃで、遊び心があって、職人魂、誇りがあって…夢とか思想があるところがいい。
そして人とか社会に迷惑をかけない、というところを会社としても早くから徹底しているらしきところなども、ここ最近、中国、台湾、タイと彼の興した会社の仕事をさせてもらってよかったな、という気にさせてくれる。
以前読んだゴーン氏にも共通するのは、仕事ができるかどうかも大切だけど、最終的にはひとりの人間としてどうか、というところで見ているところ。さすが経営者。僕は経営者じゃないけど、けっこう激しく同感。そういう人とこれからも数多く会いたいし、一緒に仕事をできたら幸せだと思う。

表現したい人のためのマンガ入門 表現したい人のためのマンガ入門
しりあがり 寿 (2006/07)
講談社

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僕はしりあがりさんのマンガをそんなによく知らないし、マンガを描きたいと思ったことも小学生以来、一度もないんだけど。某お酒メーカーの宣伝部にいたという氏。境遇的に親近感を感じるのももちろんだけど、表現全般に関する考え方がとてもわかりやすくて面白い。

Massive Change Massive Change
Bruce Mau、Jennifer Leonard 他 (2004/09)
Phaidon Inc Ltd

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クールハースつながりで、ちょっと前にはまったのが、ブルース・マウのわりと最近の本。日本でも最近「デザイン」を広く捉えた動きが多いけど、それを思い切り広く捉えて、デザインの力で世界を変える!と息巻く、力の入った本。その考え方自体がとても西洋的、というのは別の雑誌での大方の書評だったような。それにしても、クリエイティブと様々な分野のアカデミズムをとても近くにおいて、交差させていこうとしているのが、とても刺激的に思える。