KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

ぐるりのこと

先日中国での旅先で読んだ本2冊。
まずは、井島くんに薦められた梨木香歩の「ぐるりのこと」。「ぐるり」とは、自分で確かめられるような身の回りの世界のことらしい。そんな自分の足下の世界に潜む様々な<境界>について、日常的な視点で考えつづける、エッセイのような詩のようなスタイルは、どこか保坂和志を思わせてしっくりとくる。保坂と同様に淡々としていて、時に牧歌的だったりもするんだけど、時折小さな世界からググっと垂直に離れて世界を抽象的に考える視点は鋭く、深い。自分のつくってる<あいだ>についての本と共振したりして楽しめた。

もう一冊は「ポスト・ムラカミの日本文学」でデビューした仲俣暁生の第二弾。表紙はティルマンズ。保坂和志阿部和重吉田修一堀江敏幸など、W村上以降の新世代の小説家について同世代の視点で語る仲俣さんには(以前に一度食事をご一緒させてもらった)扱う作家を含め、共感できるところが多い。この本では前作から一歩進めて、彼ら5、6人の作家に現代の音楽、写真を絡めて「私たちが今、どこにいるのか」をあぶり出す。刺激的。

ぐるりのこと

極西文学論?Westway to the world