KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

共鳴するということー「共鳴、ここ・から」

もう一冊、いい知的刺激を与えてくれる本に出会った。金沢21世紀美術館のオープンに向けて企画された「21世紀の出会い?共鳴、ここ・から」。ポール・ヴィリリオ、長谷川裕子、ベンジャミン・ブクロー、中沢新一などが、21世紀に向けて「ポリフォニー/共鳴」というテーマを中心にテキストを寄せている。
中でもキュレーター、長谷川裕子のテキストがキレている。まずは20世紀から21世紀への枠組みの移行を3M(個人主義、資本主義、物質主義ーman, money, materialism)から3C(意識、共存集合知ーconciousness, co-existence, collective inteligence)への移行と位置づけ、その後の世界のキーワードとして「ポリフォニー(多声唱和)を唱える。そして(ここにも登場)イタロ・カルヴィーノの言葉をガイドに話を進めていく。以下、気になった言葉のメモ。


フーガ/「遁走曲のように、逃げるフレーズと追いかけるフレーズの連続。」→バッハ→ミラン・クンデラ/■「ポリフォニー(多声唱和)は、絶えず地場を他者と共有しようとするべクトルをもったエゴフーガルな個が並びあった時、そのあいだで共鳴、共振が生じるというビジョンである。(…)中心や主旋律はない。共鳴、共振は次の新しい文化の予兆である。異なるものが出会うことによって不意に鳴り始める「新たな振動」それはカオス理論における揺らぎと似ている。」/■「軽さ」軽さは世界の見方です。/「非物質感、無重力、誰にでも開かれているといった軽やかさ、現実の重さから逃れ、理念的であるという類いの軽さ、私が無であることから生じるあらゆる種類の軽さ」/SANAA/限りなく無に近いその主体の有様/■「スピード、振動」ダグ・エイケン/振動のレベルで世界を見、収集し、コラージュすること/リッチー/情報を要素に分類し、すべての情報を視覚的に変換できる独自の視覚言語体系をつくること/■「視覚性(二重の身体に向けて)」/M・バーニー/曖昧で多義的ではあるが「強い視覚性」/■「まなざしの多様性」多元的なテクスト/パラレルワールド/不可能な未来/寓意の世界/■「共有」/「観客」から「参加者」へ→「参加」から「共有」へ/別の世界観の入口/植物の世界観/グローバルなマッピングと末端のセンサー/ポリフォニックな状態/「ポリフォニックな状況は、魅力的だが分裂的で状況が捉えにくい。」/複雑なジャングル/自分の身体感覚と知的・動物的直感+わずかのテクノロジーの助け。
…ますます金沢に行きたくなった。


21世紀の出会い?共鳴、ここ・から