KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

その7ー「ナコイカッティ」

年末の二日間で行った「見残しビデオマラソン7連発」のトリは、「ナコイカッティ」。「コヤニスカッティ」「ポワカッティ」と続く人類/社会/地球についての壮大な3部作の最終章にあたる。Na-qoy-qatsiとは、アメリカ先住民ホピ族の予言の言葉で、1.互いに殺しあう命、2.日常と化した戦争、3.文明化された暴力という意味らしい。

この3部作は、おそらく映像と音だけで「人間とは、文明とは」という世界観を語ろうとしているのだろうが、僕にとっては強烈な睡眠効果があるらしい。年明け早々の夜中に見ていて寝てしまい、元旦の夜に再び見たのだが、やっぱり眠くなる。3作目は、淡々としたドキュメンタリー要素の濃い前2作と違い、ほぼ全編CGなどを使った抽象的なもの。もちろん台詞や分かりやすいストーリーはない。

やたらにネガポジを反転(文明の裏面を描くの意としては単純な手法だ)した映像が多かったり、CGもどこか海外のニュース番組のオープニングで見たような感じで薄っぺらく見える。音楽(Philip Glass)も映像もきっとお金も時間もたっぷりかかっているんだろうけど、その世界観自体がどこか終末論的で重苦しい。やたらと煽るボードリャールや、もっと遡ってジョージ・オーウェルなんかを思わせる。

文明がその便利さの裏面でろくでもないことをたくさんもたらしてきたことを、もう一度嫌というほど味わいたい人にはおすすめだ。でも僕にはそれはもう十分だ。ニヒリスティックで重い終末論より、軽く、その先を想像させるようなものが見たいし、つくっていきたいと思う。

Hide 70点
Ayumi 70点


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