KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

本を読むのに一番いい場所/ペンギンの憂鬱


ペンギンの憂鬱

どこで本を読むのが一番好きかと聞かれたら、旅先でと答えるかもしれない。そういえば会社に入社して間もないころ、ぽっこり空いた休みにひとりで本を10冊くらいもってハワイに行き、朝日が昇るまで毎日ベランダで読みまくっていたこともある。身のまわりに余計なものもないし、時間の心配もしなくていいので、本の世界にどっぷりと入って行けるのだ。最近では、ホテルの部屋に戻って来てシャワーを浴び、ひとりでビールを飲みながらソファに座って本を読むのが気に入っている。

今回の台湾でのお供はウクライナ出身のロシア語の作家(名前を忘れた)の小説。解説には村上春樹に近いとあったが、村上春樹保坂和志を足して2で割ったうえに、スパイスとしてカフカの不条理さと、ミラン・クンデラの政治性を入れて8掛けにしたくらいといった方がいいかもしれない。ペンギンと暮らしている売れない作家が「まだ死んでいない人の死亡記事集を書く!」という設定までは最高なのだが、その後思いがけずいろんな事件に巻き込まれて行くという展開が、ちょっとエンターテイメントしすぎで残念。それでもウクライナという、場所も朧げな地に住む作家とこれだけ親近感を感じられたりして、世界はどんどん狭くなっているということを実感する。