KYODO HOUSE -Art of Living 近藤ヒデノリのブログ

クリエイティブディレクター\編集者\ソーシャルアクティビスト 近藤ヒデノリのブログ

On-going vol.3

日曜日、巣鴨の廃校で行われているアート展、 On-going vol.3へ行ってきた。先日の池尻中学校跡を利用したイデーの「ものづくり学校」に続き、なんだか廃校づいている。On-goingはタイトルどおり「進行中」。70年代生まれ以降の作家たちを紹介するグループ展として六本木の廃校で始まり、今回が3回目だという。続けているということが、まず単純に偉い。
都営三田線の西巣鴨という、初めての駅を降りるとすぐ、その学校があった。今回は「一万円で買えるアート」というサブテーマがあり、福沢諭吉をワォーホール風にカラフルにしたポスターが校庭の脇のフェンスにでかでかと貼ってある。学校のフェンスに貼ってあるというのもあるけど、学園祭臭さが気になり、ちょっと不安になる。

校庭を抜けて構内に入ると受付で主催の小川さんによる軽い案内が受け、3Fすべてを使った展示を見て回る。今回の展示にはBBSでも紹介した、友人の写真家の高田洋三と美術家のタムラサトルが参加しているんだけど、僕の真の目当ては、まだ知らない面白い才能と出会うことだ。

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(右端)土屋貴哉、pairs

内装までいじってしまうイデーのIIDと違い、この会場では(おそらく臨時だからだろう)学校の教室や校長室、実験室などがそのままの状態で展示会場として使われている。一緒に行った崇と「やっぱり学校って機能的でシズルがあるね」「トイレが臭い」などと話しながら順番に見て回る。何気なく廊下に置かれていた椅子の足がやけに短いのが気になる。学校にある家具って機能的でかっこいいものが多い。

PMアートアワードや、先日のCETで見て覚えていた人も何人かいたが、新たに個人的に気になった作家がいた。土屋貴哉と鈴木恒也。ある意味とても「編集的」な二人。前者は、たまたま以前にウェブで作品を見たことがあったが、日本でこういったG・オロツコや、M・カテランなどを思わせるコンセプチュアルでトリッキーな作品をつくる作家は珍しい。今回はボウリングボールに二人分の穴を空けたものや、一万円分の領収書を買った時にもらった領収書を積み上げたものなど数点、モノを通じて見る人の思考を揺さぶる作品を数点展示していた。

(左から順に)鈴木恒也「ペロ」、海老原靖「Home Alone」、あとで少し話した土屋くん
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もう一人、気になったのは鈴木恒哉さん。コミック誌を切り刻み、時には台詞パートだけを切り抜いて、新しい本、あるいはストーリーを組み上げる。その他、本人にコピー機などを使ってつくり、ABCなどに置いているという自主制作のビジュアルブックも見せてもらう。確信犯的、ゲリラ的で面白い。

真ん中の写真は海老原さんによる、廊下の向こうに立つホームアローンの子供(人形)。ウェブでは、以前展示したキューブリックのシャイニングに出てくる双子のイメージを見ていたが、実際に見てやはり目立った。でもイメージの強度としては双子の方が上だろう。

主催の小川さんとともに、今度始めるTOKYO SOURCEで彼らにじっくり話を聞いてみようと思う。お楽しみに。